財政的制約で、世界でのアメリカの影響力が衰退している。特に中東での影響力の後退が激しい。イランはミサイルをハマスに供給することで軍事的影響力を拡大しているが、アメリカは中東和平も語れなくなった。イラン制裁も金融面だけであり、イランは核開発を支障なく進めている。
アメリカは財政上の困難から内政重視にならざるを得ず、外交的には「息継ぎの和平」に転換しているので、各地で反米勢力の伸長を許しているのが世界の現状である。
ハマスのロケット弾はイスラエルのテルアビブやエルサレムに着弾した。このミサイルはイランからエジプト経由で運ばれている。エジプトはイスラム教のムスリム同胞団のモルシ大統領が政権基盤を固めつつある。シリアでも原理主義が勢力を拡大している。トルコ・エジプト・カタールがパレスチナのハマス支援を強め、イスラエルは窮地に追い込まれつつある。
北アフリカではイスラム原理主義がマリ北部を占領支配し、アルジェリアでは天然ガス採掘施設をイスラム原理主義の武装勢力に攻撃された。リビアから流れ込む大量の武器がこの地域を軍事的に流動化している。
アジアでは中国の武力を背景にした砲艦外交で、軍事的拡張主義をあらわにし、南シナ海・東シナ海の内海化を許し、アメリカは何らの軍事的対抗策も打てずにいる。
米軍のアフガニスタンからの撤退も日程に上り始めた。アメリカが世界中で影響力を後退させ、反米勢力が各地で勢力を拡大する重大な軍事局面に入りつつある。日本は対米自立し、早急に防衛力を強化して、中国拡張主義の侵略に備えなければならない。
フランスは、マリへの軍事介入で泥沼の消耗戦に入りつつある。欧州の国家的金融危機が再発する可能性が強い。合わせて中国経済のマイナス成長の中で、アメリカ経済の不況も長引く可能性が出てきた。
反欧米勢力の台頭が世界情勢の新しい特徴となってきた事を見ておくべきであろう。この世界的潮流はしばらくは続く可能性が強いのである。日本は早急に平和ボケを克服する必要がある、自立の好機を逸してはならないであろう。
スポンサーサイト