訴訟件数が03年の612万件から11年には406万件に減少している。訴訟件数が10年足らずの間に3分の1も減っているのである。しかも弁護士の数は増やしたのだから弁護士の低収入化も深刻になっている。
労働審判制度が導入されたのでそれも影響しているのかもしれないが、2001年ごろからのリストラの嵐が労働条件を急激に低下させた事が訴訟の減少に影響しているのである。日本の労働裁判は勝訴しても弁護士費用も訴訟費用も慰謝料も取れない。取れるのは未払い賃金だけなのである。
例えば月給20万円の人が失業給付の仮受給を受けながら解雇撤回の裁判闘争をおこない、1年で勝訴したとすると240万円の未払い賃金を手にすることになる。しかしながら弁護士の着手金や成功報酬・訴訟費用などを引き、失業給付金を返却すると手元に現金はわずかしか残らないのである。
つまり賃金が低いと、例え違法解雇であっても労働裁判は費用的にペイしないのである。違法解雇が泣き寝入りで終わる例が多いのは、慰謝料が認められないことが原因なのである。違法解雇の場合、少なくとも未払い賃金と同額以上の慰謝料を認めないと、労働者は裁判すら闘えないことになるのである。
これは事実上の裁判を受ける権利の侵害である。しかも労働分野の規制緩和が年々進み、当然にも訴訟件数がそのため減少することになる。例えば現在検討されている解雇の自由化や残業代ゼロ法案が実施されると、労働裁判はほとんど姿を消すことになる。
つまり規制緩和とは違法な搾取の合法化であり、合法的闘いすら不可能なことになる。奴隷労働(野蛮な搾取)が拡大し、労働運動は非合法的闘いが主要な側面となる。階級的争いがあるのに、訴訟件数が減少する事は、その社会が非民主的であることを示している事を指摘しなければならない。
政府の有識者会議が検討している「解雇の自由化」や残業代ゼロの規制緩和は、江戸時代の「生類憐みの令」以来の悪法となるであろう。階級社会において搾取階級の利益だけ考慮して規制緩和を進めると、奴隷労働化を推進し、社会的弱者の裁判を受ける権利さえ奪い取ることができるという例である。日本社会は「有識者」が非民主的政策を提言する社会なので
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