安倍政権のいくつかの有識者会議で検討が進む解雇の自由化は、戦後の労働法制を一変させるほどの悪法であるが、労働界の反対の声が少ないのはどうした事であろうか?我々には不思議なことである。
そもそも現在の日本経済のデフレの原因となっている個人消費の減退が、労組の家畜化による所得政策としての春闘を形骸化した結果であり、強欲に目先の利益を追う経営が招いた日本経済の衰退であった。
戦後労働改革は、強い労組の育成を通じて産業の発展を導くだけの個人消費を向上させ、国民経済を活性化させる点に最大の経済的狙いがあった。政治的には強い労組を保証することで軍国主義の復活を阻止する事が期待された。
ところが労組の家畜化はこの労働改革の意図する点を破壊し、日本経済を衰退の悪循環に落とし入れた。企業のリストラが労働者の雇用を危機に陥れる事となった。家畜労組に代わり新しいユニオンが組織されたのは時代の必然であった。
労働者がリストラと闘い始めると、いかに安上がりに解雇できるかが経営上の課題となった。こうして労働法制の規制緩和が企業とその政府の合言葉となり、「解雇の自由化」がブルジョアジ―の共通の課題となって浮上した。
「解雇の自由化」は、労働条件を急速に切り下げ野蛮な搾取を実現する。労働は強制労働となり、賃金奴隷制度の本質が露呈しつつある。この内に対する抑圧は外への侵略を前提としており、国民経済の縮小は、貿易と資本の輸出で儲けようとするものであり、規制緩和は極めて侵略的法整備なのである。
「解雇の自由化」は新しい労組の経済的基盤を破壊する。解雇事案や残業代事案が無くなれば、企業の違法行為が合法化され、新しいユニオンは合法的闘いが無くなり、非合法化するか?もしくは財政面で解散に追い込まれる事になりかねない。
労組の家畜化や解散は、侵略化している日本資本主義の軍国主義的暴走を阻止する現代労組の中心的役割が果たせなくなることである。民主勢力の中核が労働組合なのであるから、すべての民主的勢力は「解雇の自由化」に反対しなければならないのである。
「解雇の自由化」を主に求めているのは在日米企業団体であり、アメリカの金融資本なのである。TPP加盟によるアメリカルールの導入は、日本の社会をアメリカのような犯罪とテロの多発する野蛮な社会へと変えるであろう。
新世紀ユニオンは「解雇の自由化」に断固として反対する。解雇の合法化によって新しい労組を非合法化しても階級矛盾は無くならないのであるから、それは労働運動の形態を変え、日本を犯罪社会に変えるだけであり、階級矛盾の緩和にはならないのである。
安倍政権の「有識者会議」の人々が、正常な知識を持っていない事はすでに多くの人が指摘している。普通の人は「有識者会議」のような強欲化したブルジョアジ―の御用組織のようなものには入らない。
新自由主義と呼ばれる経済のグローバル化は、世界をアメリカのような強欲の資本主義に、犯罪社会に変えることでしかない。人類がこの後も長く生き残るには国ぐにの文化や体制の多様性を認めなければならない。
「解雇の自由化」は世界的に優れた日本文化と日本社会を破壊する事になる。新世紀ユニオンは「解雇の自由化」に断固として反対する。今以上に労働者を雇用不安に追い込んで、優れた日本社会を破壊しようとする者は、誰の利益を代表しているのかを見なければならないのである。
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