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新世紀ユニオン発行のニュース

新世紀ユニオン2013年度運動総括(案)

(1)今年度の世界情勢の特徴について

 世界経済は引き続き経済・金融危機が続いており、その特徴は先進各国の新自由主義によってもたらされた高利潤追求が個人消費の低下をもたらし、危機回避策としての内需の人為的市場創出が先進各国の深刻な財政危機をもたらした。特にアメリカはイラク戦争とアフガン侵略戦争が財政的疲弊を招き戦略転換を余儀なくされる事となった。

 オバマ第2次政権の特徴は、アメリカが「息継ぎの和平」に戦略転換し、経済立て直しの内政重視に転換した事である。当分の間アメリカは世界の警察官としての軍事介入は回避しなければならない局面が生まれている。

 つまり世界の一極支配から多極化の特徴が明確化したのが本年度の特徴であった。欧米が企んだシリアへの軍事介入はイスラエルの安全を確保するためであったが、国連安保理でのシリア制裁決議がロシア・中国の反対で決議出来ず、多極化の下で主要国の利害対立で冷戦時代に似た政治状況が生まれている。

 こうした中で中国の軍事的拡張主義の野望が南シナ海と東シナ海を自己の管轄海域と定めて、軍事大国化の野望が尖閣諸島への公船(=巡視船)の強引な行動となって表れている。中国経済は反日暴動後中国内の日本企業が工場の東南アジアなどへの移転、さらにはシャドーバンクの破たんの危機がせまり、建国後最大の経済危機に直面している。

 注目しなければならないのはアメリカ・欧州・ロシア・日本で排外主義的運動が成長している事である。アメリカではメキシコなどからの密入国者への反発が、ヨーロッパでは移民や東欧からの出稼ぎに「雇用を奪う」との反発が出てドイツやフランスで極右勢力が成長している。

 ロシアではシベリア地域への中国人の流入に反発し、中国人街建設反対の声が高まっている。日本では在日朝鮮人・韓国人への反発から排外主義的デモが行われるようになった。

 世界経済の同時不況、温暖化による異常気象や地殻の活動期による災害の増加、民族排外主義の広がり、さらには政治上の多極化という、これらの世界情勢の現局面の特徴は、過去に世界大戦につががった経験から見て、世界の労働者階級の反戦・平和の闘いが階級的任務として急浮上している事を見て取らねばならない。

 我々は、新自由主義の強欲の資本主義に反対し、野蛮な搾取に反対すること、世界の各国が民族自決権を認め・尊重し、内政不干渉と平和主義の原則を守るよう労働者階級の国際的責務として言論活動を一層強化しなければならない。

(2)今年度の国内情勢の特徴について

 総選挙による自公政権の復活は、主に民主党政権の消費税増税や子ども手当の放棄など公約違反が反映したものであった。つまり国民は土木資本主義の自公政権の復古を支持したわけではなかったのである。かつての民主党の政権獲得時の公約「コンクリートから人へ」は正しかったのであるが、管・野田の裏切りが国民の離反を招くこととなった。

 安倍政権がアベノミクスの円安誘導による輸出の回復、国土強靭化政策による公共事業のバラ撒きは一時的に経済の回復をもたらしたが、これは消費税が増税されるまでの一時的なものである。しかし野党の多党化による政権の受け皿がなく、安倍自公政権は安泰の政治情勢が生まれている。

 政府の「産業競争力会議」や「規制改革会議」や「雇用ワーキンググループ」が進めようとしている解雇の金銭解決・限定正社員制度・解雇の自由化はまさに小泉改革の反動復古ともいうべき政策である。しかし現在の議会の「一党支配」ともいうべき状況下では、こうした搾取強化の政策の実施は避けられない状況となっている。

 日本の労働組合が家畜化している状況の下では、アベノミクス自体は消費税増税で短期に失敗に終わる可能性が強く、労働条件の悪化を目指す解雇規制の緩和が一層デフレ傾向を強めることは避けられない。

 日本の国民経済の復活の為には高い賃上げが必要なのであるが、強欲の資本主義に取りつかれたブルジョア政権が賃上げ誘惑をするわけがなく、したがって今後も日本経済の高成長はあり得ない。

 日本経済は対米従属から来る政治上の制限で、産業構造の転換ができず、いつまでも自動車や電機では中国や韓国に追い上げられるのは当然なのである。航空機産業や宇宙産業、その他の先端産業への移行を目指す産業政策が、アメリカの「同盟管理」(=支配従属同盟)で不可能なことが日本経済低迷の主因なのである。

 日本はいつまでもアメリカ国債を買わされ、「米軍受け入れ国支援」や「思いやり予算」の国家的搾取を受け、米軍に守ってもらう(=支配される)ことではいけないのである。

 我々は日本の対米自立の運動を主に言論の形で展開してきたが、引き続きこの民族課題の為に対米自立の運動を展開しなければならない。

(3)新世紀ユニオン2013年度活動総括

 新世紀ユニオンが社会貢献活動として行っている無料労働相談は1月から6月の半年間で100件近い相談があった。東日本大震災後相談件数は急減したが再び相談件数が増えている。今年度の相談内容はパワハラが去年の3倍ほどに増えており、逆に解雇の相談が減少している。

 昨年度解雇裁判は00件であったが、これらはほぼ解決した。しかし2件の事案が、審判での和解にも関わらず解決金が支払われない事態となっている。こうしたブラック企業との闘いは大きな解決すべき課題となっている。

 相対的に解雇事案での解決金の額が低下しており、これは解雇の緩和措置に向けた司法の方針である可能性が高い。パワハラ事案の急増の中で精神的暴力を肉体的暴力と同じ刑事事件とする法整備が求められている。

 ところが現状ではパワハラによるうつ病などの精神疾患に対する労災認定は大阪では10%ほどにすぎず。多くの企業がうつ病での休職者を原職復帰させず、酷い場合は職場ぐるみでイジメ倒し、病気を再発させて、職場から追い出している状況がある。

 新世紀ユニオンでは、今年度2回(5月と9月)の組合員交流会を開催し、こうしたパワハラ問題についての闘い方の認識を高めてきた。現在4件のパワハラ事案の裁判を闘っているが、パワハラの被害に対する闘い方は定まっていないのが現状である。

 しかし新世紀ユニオンではこの間の少なくない経験でパワハラの対処法を確立できるまで研究が進んでいる。パワハラ裁判の経験を勝利的に実践し、教訓化する事が社会的に求められている。

 新世紀ユニオンの以前からの課題は、解雇された労働者が審判を闘いたいが、弁護士の着手金が支払えず、闘いをあきらめる労働者が少なくない事であった。これは解決金相場の急落もあって労働審判や裁判をあきらめる人への救済をどうするかが我々の大きな課題であった。

 今年度テストケースとして本人の申請による労働審判を闘い、勤続1年であったが9カ月分の解決金で和解する事が出来た事は評価できる。今後弁護士の着手金が無い人でも、本人申請で審判を闘えるめどが立った事はユニオンにとっては大きな前進と言える。

 日本の労働裁判の原則は、現状回復主義である。つまり解雇されても慰謝料は認められず、未払い賃金が支払われるだけなのである。だから賃金が安いと裁判がペイしないのであきらめる人が多いのである。

 政府がアメリカルールに習い解雇規制の緩和を進めるなら、アメリカのような懲罰的慰謝料も是非とも導入してもらいたい。解雇裁判やパワハラ裁判での高額の慰謝料の容認を司法改革として求めていくことも社会的課題となっている。合わせて裁判上の和解による解決金の不払いについては詐欺罪などの刑事罰を加えるようにすべきである。

 司法が無力であるならブラック企業が増えるばかりである事を今後運動の中で訴えていく事が求められている。加えてパワハラ事案での慰謝料の低さは、日本の人権侵害への司法の軽視を証明しており、これについても今後宣伝していかねばならない課題である。

 司法の反動判決についても触れなければならない、国立大学や学校法人に対する労働裁判で、とりわけ反動判決が目につく。これは我々も今年度いくつかの裁判で経験したことであるが、被告が大学や官僚の天下り法人だと、司法は無茶苦茶な弱い者イジメの判決を下す傾向がある。

 その度に司法改革が日本で一番遅れているという点を痛感させられるのである。新世紀ユニオンは今後この点での言論活動を強化していく事が求められている。

 労働裁判でユニオンの指導で証拠もそろえ勝利が確実な事案で、会社側が会社を解散させ親会社が事業継承した為、裁判官が解雇から解散までの4カ月分しか和解金を認めず160万円しか取れなかった事は残念としか言いようが無く、法人格否認の法理で闘うには弁護士が「証拠が無い」ということで断念せざるを得なかったのである。今後こうした裁判対策としての計画倒産が増えるのではないか?と心配している。

 解雇事案であろうとパワハラ事案であろうと比較的早くユニオンに加入した事案は、多くの証拠によって概ね勝利的に進行している。

 問題は事態が悪化してから駆け込んでくる場合の困難な闘いを、どう勝利につなげるかである。解雇や雇止めされてからどのように証拠を集められるか創意工夫が必要である。一部に「労働者の側も証拠を偽造すべきだ」との意見もあるが、それは逆に敗北のリスクを高めるので支持できない。創意工夫で証拠を集める努力をすべきである。

 ユニオンの交流会では、概ね対敵闘争の観点から発言が行われている。しかし中には個人的立場からの一面的発言があり、参加者の批判が起きる場面が見られるようになった。組合員の間で意見の相違は批判と自己批判で解決する事はユニオンの団結を強化する事になるので良い事である。

 労働者は闘う者の利益、立場に立って、対敵闘争の観点から物事を見、考え分析する事を身につけていかねばならない。いつまでも自分の利益からだけ見るのではなく、労働者階級の視点から考え発言できるように学び・訓練しなければいけない。

 財政上のユニオンの課題は、相変わらず組合費の未払いが多い事である。解雇され失業している人ならともかく、月づきの収入があるのに、収入の1%の月づきの組合費を払わない人が少なくない。

 日本の企業内組合は組合費の給与からの天引き(強制徴収)で、次第に組合民主主義を形骸化し、労働官僚の支配する家畜労組となった。我々新世紀ユニオンは組合員の自由意思に基づいて振り込む事にしている。このことは組合民主主義を取りもどす第一義的なやり方であり、我々は口座からの振り込みや、給与からの天引きは、自主管理労組の取るべき方法ではないと考えている。

 労働組合(ユニオン)は組合員の助け合いで、労働者の闘いの砦として役立つようにしなければなりません。ユニオンの財政はあくまでも個人の組合費が基本であり、自由意思に基づく支払いが労働者の義務として行われるよう教宣活動を強化しなければならない。

 政府の進める解雇の自由化が行われると、新世紀ユニオンの財政が危機になる事が予想出来るだけに、組合員の利己的意識・個人主義を克服して財政的にも団結心で新世紀ユニオンを支える事が求められている。

 新世紀ユニオンの組合員は、実践の中での貴重な経験を総括し、正反両面の教訓を明らかにし、裁判に敗北しても、勝利しても、労働者の闘いは終わりではなく、闘いを堅持するという立場から仲間の教訓、自分の教訓を明らかにしなければならない。

 新世紀ユニオンの社会的役割は、労働者の闘いの戦術レベルを上げる事、労働者の闘いを理論化し、対処法を豊富にすることであり、新世紀ユニオンの組合員は自らの先進的な階級的役割に誇りを持たなければならない。
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