安倍政権の「国家戦略特区」の規制緩和メニューが決まった。それによると解雇の自由化は評判が悪いのであきらめ、残業代ゼロは先送りし、「解雇ルールの明確化」を修正し、労働トラブルの未然防止として、企業に助言する機関を特区に作る事にした。また有期雇用の無期契約への転換出来る年数を今の5年から伸ばすのは、来年の通常国会で法案成立を目指すことになった。
つまり政府は解雇ルールの緩和を少し修正し、労働分野の規制緩和は引き続き追及している事になる。政府が解雇の自由化を修正し、「労働トラブルの未然防止」に目標を変えたのは、解雇の自由化の狙いが新しい労組(=ユニオン)対策で有った事を示している。「労働トラブルの未然防止」すればユニオンの役割が無くなり、不当な攻撃を受けた労働者の救済の役割を失うことになる。つまり政府の解雇の自由化がユニオン対策であった事があきらかとなった。しかしあまりにも解雇の自由化の評判が悪く実施出来なかったのである。
政府が「労働トラブルの未然防止」として企業の為に「指導機関」を作ることは、言いかえれば企業に脱法的解雇手法を指南することであり、それ自体が健全な労使関係を形成できなくするので、いいことではない。現在の日本経済の縮小再生産(=デフレ)が企業内組合の家畜化の結果であることを未だ政府が認識していない事を示している。
個別企業の利益を政府が政策として考えること自体が間違いで、政府は国民経済の成長をこそ考えるべきなのである。その為には比較的継続して賃金が上昇する事が経済の拡大再生産の為には必要であり、それがブルジョア階級全体の利益である事が全く理解できていないことは、日本の国民にとっては不幸なことである。
今日の世界経済の不況の原因が「新自由主義」の政策(=自由化・民営化・規制緩和)に有ったことを知るべきだ。個別企業の目先の利益を追い求める愚策は、国民経済を縮小・疲弊させることを政府は理解すべきなのである。
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