地球上には様々な生物が生きている、この生物の多様性は地球環境の多様性に規定されている。生物の進化は環境に適応する中で進行する。さまざまな環境に適応できた生物がその星の支配的生物となる。人間が環境に適応出来たのは知恵のおかげである。環境に逆らうのではなく適応する事が難しいのである。
同じように社会の中で暮らしていてもいろいろな人間がいるのは、その人の育った環境、その人の職業が様々な人間を作るのである。小商売人は姑息で、商売とは人をだます事だと考える人が多い。一度人の物を盗むとその経験から同じ手口で盗みをするようになる。窃盗犯は経験を繰り返すので犯人ごとに手口が違うと言われている。つまり窃盗犯は低レベルの経験主義なのである。
商売で成功するには、成功した人の伝記を読み学ぶ事が重要だ。自分の経験ではなく成功した人の教訓や信条に学ぶべき利点がある。会社員なら上司の指導をどう解釈し、どのように実践で具体化するか考え行動する事が重要だ。仕事の報告は枝葉の事は四捨五入し、中心問題だけ報告する。上司に質問されたら、質問されたことだけ掻い摘んで答えるようにする。自分の頭で具体化し、目標を実現する必要条件を考えずに、質問ばかりしていては能力が無いという評価になる。
労働者が働く職場の上司の性格や思考方法を理解したうえで、頭を働かせて上司が何を求めているかを考えて実践(=仕事)に具体化する事が必要だ。つまりその職場の環境にうまく適応できる柔軟な思考が求められている。最近つくづく思うのはリストラされる人は上司の思考方法を分析出来ず、指導の内容を具体化出来ない人が多いことである。そこには経験で形成された狭い経験主義がある。
リストラ相談を受けていて指導をしているのにさらに質問して来る人が時たまある。次々質問のメールが来る。話の内容は上司と面談し証拠の録音をするだけなのだが、それが怖くてできないので質問でごまかそうとする。
あるいはユニオンで内容証明を作ると言っているのに指導を拒否する人もいる。リストラされる人はどこか経験主義を基礎とした欠点を持っているものである。人間には実践し教訓を学び、再実践し再び教訓化する、この日々進歩する認識運動が重要なのである。
つまり自分の経験をどう理論化・理性化するかが重要なのである。一流の企業になると上司も能力が高く頭がいい、こうした人の下で働くには「1を聞いて10を知る」と言うことでなければ見捨てられる事になる。上司に報告するのに概括できず、幹を語らず、枝葉の問題をくだくだ報告していては低い評価になり、リストラされることになる。
自分の行動(=営業活動など)を総括し、正反両面の教訓を導き出せないということは、その人は経験主義のレベルなのである。総括し正反両面の教訓をまとめる能力が訓練されていない人が多いのである。今の会社は即戦力を求めている。しかしそれぞれの会社には特殊性(上司の性格など)があるので巧く適応出来なかったりすることがある。
つまり雇う側にも人を育てるのが下手になっているとしか思えないのである。こうしてみすみす有能な人材をリストラしている会社が多いのである。即戦力ということと適合させ育てるということは矛盾しないのである。適応と成長と言う点で労働者の側にも同じ問題がある事を認識しなければならないのである。解雇や退職で逃げていては解決とはならないのである。
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