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労働協約の規範的効力

 労働協約の効力のうち重要な部分を占める規範的効力について検討します。

 個々の労働組合員の労働契約のうち、労働協約に定まる労働条件に違反する部分は無効となります。この効力を「強行的効力」といいます。また、無効となった部分は労働協約が定める基準にとって代わることになります。この効力を「直律的効力」といいます。

 これらの内容が労働組合法16条に定められています。「労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となつた部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。」

 規範的効力は労働組合が使用者との団体交渉を経て労働協約として締結して定めた一定の労働契約に対し各組合員の労働契約を規律する内容となります。

 これは当然の事であって、せっかく労働協約で定めた(勝ち取った)有利な労働契約と異なる内容の労働契約が組合員との間で結ばれたのでは意味がなくなります。その意味では労働組合が得ている強力な法的効力となります。

 この効力に関して個々の組合員が労働協約より有利な労働契約を結んでしまった場合はどうなるのかという問題が生じます。(「有利原則」の問題といいます)

 労働基準法や労働契約では労働契約や就業規則に関して規定があり、いずれも「達しない」という言葉で有利な労働条件の場合を認めています。(労働契約法では7条ただし書きで法定、労働基準法は最低基準を定める法律であることから当然の帰結)

 労働基準法第13条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。

 労働契約法第12条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

 労働協約ではこれら二つの法律で「達しない」と表現している部分が「違反する」となっていて両者とは異なっています。解釈は当事者の意思にゆだねられるとされていますが、判例、多数説では有利原則はおおむね否定される傾向にあるといえます。(上の労働組合法16条条文も参照)

 すなわち労働協約においては不利な個別労働契約はもちろん、有利な条件での労働協約も否定され、労働協約で定める労働条件と解釈されるということになります。その理由としては次の事があげられているようです。

1. 企業別に労働条件を決定することを主な目的にする日本の労働協約の実態。
2. 特定の組合員のみ有利な労働条件が認められると労働組合の団結を乱すことになる。

 しかしながら雇用・就業形態が多様化するなかで労働協約による定型的な労働条件になじまない労働者が増えていくことが考えられ、その場合、労働協約より有利な個別の労働条件が合理的になる場面もありうるのではないかという説も展開されつつあるようです。

 いずれにせよ、まずはこの労働協約の強力な効力をしっかり認識しておくことが労働組合運動を進めるうえでの重要なポイントとなります。
(条文の下線は筆者、「定がない」(送り仮名がない)「なつた」「なった」などは条文どおり)
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