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新世紀ユニオン発行のニュース

軽自動車は国民車ではなかったのか? ~個人・中小企業冷遇、大企業厚遇の安部政権~

 軽自動車は、戦後の復興期の中、当時の通産省(現・経済産業省)の「国民車構想」で「一家に一台車を」という思想の元に昭和30年ごろから順次各メーカーから発売され、昭和33年軽四輪自動車(以下「軽自動車」)の草分け的存在の「スバル360」が爆発的ヒットとなり、それに追従して各メーカーの経営方針もオート三輪から四輪の開発に転換させる原動力となった。同時に各社とも貨物車の開発にも力を入れ、この過程で誕生した「軽トラック(以下「軽トラ」)」や「軽ワンボックス」は日本の経済活動、特に軽トラは総面積の70%が山間部である日本での農業の負担の軽減に大きく貢献し、現在では欠かせないものとなった。

 政府は「景気は回復基調にある」とマスメディアを通じて宣言しているが、実態はどうか。大企業の利益・内部留保等が増えただけで庶民には何の恩恵も無い。表面的雇用状況は改善しているものの、退職勧奨、パワハラ、セクハラ、社員の非正規化といった「雇用地獄」は更に陰湿化している。
庶民は生活防衛として、世界的に見ても維持費の高い自動車を、大型車から普通車、普通車から軽自動車へとダウンサイジングしている。最近では最も売れている自動車の上位10台のうち6台が軽自動車という月もある。

 しかし、安部政権はこの経緯や状況が分かっておきながら、平気で軽自動車に掛かる税金負担(軽自動車税・重量税等含む…年間維持費)を平成26年4月納車分(注1参照)から約1.5倍もの大増税に踏み切った。この暴挙は、永田町の中だけで話をしている愚かな安部政権の自己満足の税制改革で、全く大多数の国民の現状を分かっていない。正に「井戸の中の蛙」である。この「税制改悪」に対する安部政権の言い分は以下のとおりである(注1…契約が3月でも納車が4月なら増税)。

①自動車取得税の減税に伴う地方税減収の穴埋めとしての軽自動車への増税

 平成26年度から軽自動車税の取得税は3%→2%になるものの、消費税が5%→8%になり、上述したように、差引きしても約1.5倍の増税である。しかも売れている軽自動車自体の大半が「エコカー減税」の対象であるため、取得税が元々免除されているため、消費税増=負担増となる。
更に平成27年度から消費税は10%になり、現状の税負担と比べると年間で約1.6倍の維持費増となってしまう。

 同様に、1.8Lクラスの普通車(エコカー減税対象車)の維持費は、平成26年度から年間で約1.4倍の維持費増でそれ以降は不変である。

 上述の記事が大きすぎて目立ってはいないが、以下の2項目も決定している。
1) 登録してから13年以上経過した車(普通車…登録車と呼ばれる)の重量税の増税
2) 消費税が10%になった時点で、環境性能を加味した「新自動車税(詳細は不明)」に切替

 以上の増税により、政府は自動車関連だけで1,400億円の増税になる。しかし、安部政権は、「平成27年度の自動車取得税廃止により1,900億円の減税(地方税減収)になる。そのために自動車税を増税するしかない」と説明している。

 この仕組みを見ると、如何に軽自動車を狙い撃ちして増税し、更に「買ったものは大切にしよう」という自動車ユーザーに対しても負担を強いている事が良く分かる。
安部政権は「経済成長の為」云々と講釈をたれているが、地方の交通インフラの貧弱さを理解しているのか?と言いたい。間違いなく分かっていないか、あるいは意図的に切捨て(無視)しているとしか思えない。

 上述したように、今では軽トラは日本の農業では無くてはならない存在だし(あれだけあぜ道や山間部の狭い道を苦も無く走ってくれる小さな車は世界どこを見渡しても無い)、軽自動車は、交通インフラが不十分(バスも電車も殆ど通らないような箇所)な山間部や限界集落、離島などにとっては正に「生活の足」であり、生きていく為の「必需品」で有る事を理解した上での決断ではない。

 安部政権はこの実態をきっちり把握するため、上述のような集落に最低一ヶ月位「インターン修行」でもして肌身をもって理解するべきである(国会もいつも一ヶ月以上空転させている位だから、時間は十分確保できるはず)。

②アメリカが非関税障壁として軽自動車の税金が安いからアメリカ車(以下「アメ車」)が売れないといった無道滑稽なアメリカの言い分に従おうとする馬鹿馬鹿しさ


 BIG3のうち2社が破綻しても未だにアメリカは「アメ車は日本で何故売れないのか?何故日本車はアメリカで売れるのか?」と言った簡単な事を考えないのか?
答えは簡単である。「己の価値観(ここでは車の仕様や車に対する己の国の考え方)を無理矢理押付けてもダメである。相手国(ここでは日本)の価値観(道路事情等)に合わせることが必要である」事を。 日本車がアメリカに進出した当初(昭和35年頃)、日本車は散々アメリカ人には「ポンコツ車」と馬鹿にされ続けてきた。ところが、日本人の努力によりその格差(性能面・サービス面等)は瞬く間に縮まり、昭和の終わり頃からは、アメリカ国内売上げNo.1の車が毎年日本車となる状況となるや否や、BIG3は難癖を付け始めた。

 何が違うか? それは「売る相手の国に合わせた仕様の車を造った」事である。だから日本とアメリカでは同じ車名でも仕様(エンジンや内装等)が違う事が多々ある。
反対にアメ車はどうか?アメリカで売るものを「そのままで」日本に輸出し、押し売りしているだけである。あんなに恐竜みたいに馬鹿でかくて、「エコロジー」が叫ばれている中で、トラック顔負けの排気量でガソリンを垂れ流して走る車(酷い車はエンジンの基本構造が40年以上変わっていないものもある)、好き者でもない限り買わないのは明白である。

 日本の5ナンバー車の寸法及び排気量設定(最近は衝突基準云々や、部品共通化でコンパクトカー以外では減少しているが)は、日本の道路で取り回しがしやすい寸法はどれくらいか?どれくらいの排気量までなら経済的に負担が掛からないという考え方で、当時の通産省が決めたものであり、国の事情を反映したものである。

 BIG3の首脳陣に、「売る車は相手の国に合わせた仕様の車なのか?」を問い正したい。具体的には「貴方達の売ろうとしている車はあぜ道や山間部の狭い道を苦も無くスイスイ、しかも経済的に走ってくれますか?」と。

 反対に、日本政府の弱腰ぶりも目を覆うものがある。BIG3の首脳陣が分からないのであれば、政府首脳陣が、彼らを現場に同行させ、山間部のみかん畑やりんご畑などでの軽トラの働きぶり(機動性)、限界集落で「生活の足」となっている軽自動車の姿を見せ付けてやるべきではないだろうか。間違っても足の悪い老人なんかがアメ車のピックアップトラックなんか乗れるわけ無い、と分かると思うが。「百聞は一見に如かず」である(これで分からなければ「馬鹿につける薬は無い」としか言いようがないが…)。

③現在の国内メーカーの車種「格差」

 現在の国内メーカー、特に大手の車種一覧を見ても、大義名分は「輸入車に奪われたシェアを奪還する(奪われている事自体は事実)」と声高に叫び、従来は車両価格が200万円クラスだった車がいつの間にか400~500万円オーバーの高級車に化ける反面、日本で一番需要のあった150万円~200万円クラスの5ナンバー車が殆ど無くなり、その穴を150万円以下のコンパクトカー、或いは軽自動車で埋めている構造となっている。

 ここでも「格差」が明確になり、「一億層中流」と言われた時代は遥か過去の死語となり、タダでさえ「維持費が掛かる、動けばいい」と言う理由で軽自動車を選んでいた若年層が更なる増税により、車離れの再加速が懸念される。
メーカーの販売会社にしても軽自動車やコンパクトカーが1台売れても、販売会社の利益は1万円にもならないのに(400万円以上のクラスになると1台売れたら十万単位の利益)、これだと軽自動車専門メーカーの販売会社の疲弊が容易に予測できる。

 ①の話と重複するが、なぜ利幅の大きい高級車(国内外含む)を一種の「贅沢税」として徴収しないのかが納得できない。消費税が導入された以降は排気量2.0Lオーバーの車の自動車税は0.5L刻みに税金が上がる仕組みになっており、大幅にに安くなっている。概略は以下のとおり。
変更前:2.0L~3.0L:81,500円、3.0L~6.0L:88,500円、6.0L超:148,500円
現行:2.0L~2.5L:45,000円、2.5L~3.0L:51,000円、3.0L~3.5L:58,000円、3.5L~4.0L:66,500円

 何故高級車を何台も所有する一握りの富裕層が優遇され、国民の大多数の庶民が苦しい生活を強いられなければならないのか?今はアメ車以外の高級車でも排気量のダウンサイジング化、省燃費化が進んでおり、車両価格に応じた「贅沢税(仮称)」なるものを検討して、累進課税の維持を保つべきである。

④軽自動車専業メーカーの思惑

 今回の増税は、総務省と環境省が自動車業界(特に軽自動車専業メーカー)と経済産業省の抵抗を押し切った形で決まった。しかし軽自動車専業メーカー自体も軽自動車自体日本独自の規格であるため、車体とエンジンのバランスが良くないのも否めないのも理解している。

 しかしこれを機に縮小する国内市場をそのまま掴んだ状態で国内だけでなく新興国向けにも売り込むために車体を大きくし、エンジンを現行の0.66Lから0.8L~1.0Lのエンジンを開発する事により開発コストを下げる事も考えられ得る(当然普通車扱いなので税金は上がる)。しかし、その場合「軽自動車」という規格自体が消滅する恐れもある。

⑤企業向け税金の減税に関して

軽自動車増税と一緒に考えなければならないのが企業向けの法人税である。減税内容は以下のとおり。

復興特別法人税の廃止:
8,000億円
(1年前倒し)
大企業の交際費:
650億円
(50%非課税)
企業の設備投資減税等:
6,000億円

減税額合計:
14,650億円
 見て分かるとおり、資金的に絶対的余裕のある大企業には1.4兆円以上もの減税を施し、一般市民からは乾いた雑巾を絞るように1400億円の自動車関連の増税。法人税にしても、中小企業は大企業のように「好景気の恩恵を受けていない」所が大半で、今もバタバタ倒産している状態で、上記の様な話は「絵に書いた餅」でしかない。日本の企業の99%は300人以下の中小企業で構成されている。日本の経済成長力の源泉は中小企業抜きには考えられない。

 100のうちの99をないがいろにして、残り1を優遇するとは、格差社会を加速させる事が是と考えているとしか思えない。安部政権はそのうち軽自動車も国民から取り上げてしまい、このままでは近い将来、「軽自動車」と言う言葉が死語扱いされる日もそう遠くないかもしれない。そして、行き着く先は経済成長どころか、「崩壊」の二文字が現実味を帯びてくる事も過言ではないと思う。
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