最近の新世紀ユニオンの労働相談の内、約30%がイジメ・パワハラです。なぜこのように増えたのでしょうか。それはリストラの安上がり的方法としてイジメやパワハラで自己退職に追い込む方法が多用されるようになった事が反映しています。従って使用者意思(=会社の意思)にもとづく上司の精神的暴力が増えます。しかも転職しようにも正社員の仕事はほとんどありません。つまり労働者は我慢するしかないのです。それが原因でうつ病になる人が増えているのです。
日本では上司が部下を強い口調で叱責したり、怒鳴りつけて「指導」する事が熱心さの象徴のように思われている職場が多いのです。裁判所もそれを一度は許容する傾向があります。従って裁判では人格権侵害のような事案であっても、被告会社はそれがやむをえない指導であったとばかり、でっち上げをしてきます。従ってパワハラ裁判で勝つには証拠や証言が不可欠です。
ではどのような行為が違法なパワハラになるのか、以下に簡潔に示します。
(1)上司の暴力もしくは部下に命じた暴力
(2)言葉やメールでの人格の否定・侮辱
(3)仕事の取り上げ、仲間外し、無視、隔離など
(4)伝票千切り等無意味な作業を差別して与える
(5)遂行不能の過度の仕事を与え、出来なかったり、ミスをするとののしる
(6)降格・配転・大幅賃下げで見せしめにする
(7)ミスを口実に過度の監視や制裁を加える
(8)仕事を口実に、うつ病の診察に行かせない
(9)わざと違法な仕事を命じ精神的負荷をかす
こうしたパワハラから労働者の名誉・身体の安全・行動の自由・治療を受ける権利等が守られねばなりません。経営者には快適に仕事が出来る就業環境を整備する義務があります。経営者は、職場で孤立させて自由な人間関係を作る自由を侵害すべきではありません。また労働者は知識・経験・能力・適性にふさわしい処遇を受ける権利があります。
次に判断基準について書くと
(1)不法行為であること(暴力)
(2)業務上の必要性の無い業務命令であること(違法な作業)
(3)業務命令が不当な動機・目的でおこなわれること(退職強要や不当労働行為)
(4)命令が労働者に甘受出来ないほどの不利益を与えること(大幅賃下げを伴う配転)
つまり仕事外しも違法となります。こうした嫌がらせが継続して行われると違法となります。
<最後に、闘って解決する重要性について>
我々の経験ではパワハラでうつ病になると、一般的に医師は転職を勧めます。しかし泣き寝入りするとトラウマが残り、いつまでも病気が治らない傾向があります。中には急性アルコール中毒で死んだり、アルコール中毒で入院する人まで出ます。裁判や調停で闘って自己完結的に解決した人はうつ病が完治しています。敵性矛盾は闘って解決する以外に道はない事を肝に銘じて下さい。
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