日本経団連、経済同友会、日本商工会議所による新年祝賀パーティーが1月5日に開かれた。
この中で表明された財界人の認識は、円高・デフレを懸念し、環境分野と成長している新興国への期待が示された。景気については「欧米に比べて日本は最も停滞するのでは」(宮内オリックス会長)「ともすれば二番底に陥る懸念もある」(小野伊藤忠社長)「底ばい状態を続ける」(北山三井住友社長)「日本の消費者心理を明るくする材料は出ていない」(新浪ローソン社長)「法人税減税を早く示してほしい」(隅東京海上社長)と言うように経済情勢の認識は総じて厳しいし、政府の成長戦略への批判も多く出ている。
春闘関連の発言については、日本経団連の御手洗会長が「賃金より雇用安定に軸足を置いた交渉になる」デフレからの早期脱却と景気回復の実現には「(政府の)成長戦略を実行することが大事だ」と述べている。
日商の岡村会頭は「定期昇給の抑制も起こり得る」との認識を示している。
政府の大型予算の効果が出るのは今年後半といわれており、景気は今年前半は厳しい状況が続く可能性がある。
日本経団連が1月中旬に発表する「経営労働政策委員会報告」にも「賃金カーブを維持するかどうか、実態に即して話し合う必要がある」として定期昇給の凍結を交渉の場で議論し、賃上げを抑制する内容といわれる。
財界人達は一方で賃金を抑制しながら、他方で「デフレからの早期脱却」を口にしている。これは目先の利益しか見ない彼らの身勝手な思考を反映している。
近年のリストラと賃上げ抑制、もしくは賃下げが個人消費を減退させ、デフレスパイラルを招いていることが分かっていないのである。
厚生労働省の調査によれば企業の30.9%が基本給などを削減している。この10年で労働者の年収が平均で100万円以上も低下しているのである。
つまりデフレ脱却を言いながら彼らの関心は賃下げに他ならないのである。彼らの強欲がデフレを招いていることを認識する必要がある。彼らが内需=個人消費を軽視するのは、海外市場で稼げると考えているからである。しかし海外市場依存ではドル安・円高と雇用の空洞化のリスクを常に抱え込むことになる。
賃下げと輸出ばかり追求していては、日本経済は負の連鎖から抜け出せないのである。これまでの公共事業中心の国民経済の時代は終わったのであり、それが民主連立政権の発足なのである。
経済界は民主党の環境・福祉による内需拡大に期待するしかないのに、彼らは認識の切り替えができていないのである。
鳩山首相の環境・健康を軸とする成長戦略とCO2排出マイナス25%の戦略的意義も理解できていない経済人が多いのである。
経済界のリストラと賃下げの体質が大衆の不安感を高め、安心して預金を消費に回せないようにしている。
経済界も鳩山政権の成長戦略に呼応して設備投資の方向を環境・健康を軸にしていくべきである。
賃上げ自粛の「連合」の方向は完全に間違っている。今こそ大幅賃上げを掲げるべき時である。
かつてGHQの行った「労働改革」による、労働組合の力の強化による賃上げが国民経済の戦後復興の原動力となったことを思い起こすべきである。経済界も労働界も認識を変えるべき時だ。
この道が世界市場で日本企業が主導権を再び握る道でもあることを理解すべきである。
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