問 私の会社で上司のパワハラで失踪し、行方が分からなくなった人がいます。御家族が探していますが何年も分かりません。このような場合の社員の地位はどうなるのでしょうか?教えてください。
答 ふつう失踪者の場合は就業規則の無断欠勤の条項に基づき普通解雇として解雇手続きが取られます。ただし行方不明の社員への解雇の意志表示が問題です。本人がいないのですから解雇の意志表示が出来ません。
ですから民法98条・民訴法110条・ないし113条の「公示による意志表示」を行うことになります。
行方不明の社員の最後の住所地の簡易裁判所に申し立てをして、その裁判所が1週間掲示し、官報に記載すると、その後2週間後に相手に解雇の意志が到達したことになります。この場合行方不明の証拠が要ります。
ただし相談者の職場の失踪者のように、上司のパワハラが原因で失踪した場合、そのパワハラが立証できれば損害賠償問題が生起します。会社の管理責任が問われることになり、したがってすぐに解雇できるかは問題が残るように思います。
つまり失踪者のご家族にパワハラによる精神的障害で失踪したことを是非伝えて下さい。社内の同僚の支援が無いとこのようなパワハラ被害者とその家族を救済できません。しかし会社で働いている人がパワハラを証言するのも、報復を招くことになり限界があります。事情を知る退職者を紹介するなどした方がいいかも知れません。
判例では「1か月以上で特別の事由が認められないときは、自然退職とする」あります。しかし相談者の場合は上司のパワハラが原因であり、「特別の事由」があり、自然退職扱いは難しいと思われます。もちろん懲戒解雇で処理はできません。パワハラが横行する日本の職場では労働者が失踪する事が多いのでこうしたことを理解したうえで、失踪者のご家族に是非教えてあげてほしいと思います
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