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研究不正問題に消極的で無責任な研究者たち

 日本の科学界は、実験や研究あるいは物事が思うようにいかないときに、原因の追究や、どう間違えたかを知ろうとせず、思い通りにいかない事柄を捏造や改竄で正当化し、不正が発覚すると責任転嫁をし、自己保身にはしる研究者ばかりになってしまいました。自己保身に長けた研究者がトップになり、トップが気に入る人事をするので、よりいっそう不正や責任転嫁に優れているが研究能力のない者が集まる業界になってしまいました。

 この悲惨な現状は、一流の研究所や大学で顕著にみられ、理化学研究所(理研)のSTAP問題、ノバルティス社と京都府立、慈恵医大、滋賀医大、千葉大・東大、名古屋医大の臨床研究不正問題、早稲田大学のコピペー博士論文問題と際限がありません。

 科学界は不正やウソは、やり得・ゴネ得で、真面目に誠実に研究に取り組むほうが損をします。これは個人の問題もありますが構造的な問題も大きい。抜本的な対策がなされなければ、日本の科学界は完全に崩壊します。

 私が巻き込まれた研究不正とハラスメントも、日本の科学界の歪みを反映した事案で、研究機関の日常茶飯です。

1:データ・論文に関わる研究不正

 私の事案は、科学実験を行う大学での研究不正とハラスメントが問題になっています。最も悪質なのは、教授が実験データを改ざんすることで、実験を行った私にデータの捏造・改竄の責任をおわせ、研究者としての汚名を着せ、貶めることを企んだことです。

 教授は、その立場を利用して、私に、論文に主要な貢献をしているのだから共同執筆者として論文に名前を連ねなければいけない、と強要しました。実験結果というものは、上意下達、上司が白といえば黒も白になるという組織の内輪の論理で決まるものではありません。研究者にとって、データ捏造の強要やデータ改ざんや論文への氏名使用許諾強要は、もっとも陰湿で悪質な研究不正とハラスメントなのです。

 ところで研究論文は、世界中の科学者が読み、参考にして実験をし、そして新たに得た実験結果を論文にまとめるという積み重ねで成立しています。

 “実験データの改ざんくらい”“バレなければいい”“バレても認めなければいい”と軽視することは、世界中の科学者の研究時間や税金が原資の研究費を無駄にし、何よりも信用で成り立っている世界を壊す行為です。

 STAP問題やノバルティス、その他の多くの研究不正は、世界中の科学者から厳しい批判を浴びて、日本の科学界の信用を大きく損ねる結果を招きました(1)。軽々に見逃してはいけないのです。

2:隠蔽の構造

 院生、ポスドク、任期付研究者、安定した地位の教授と、立場にかかわらず研究者が研究不正を行うのは、手っ取り早く論文を出して、その結果、奨学金や研究費や地位を得て、大学内外での権威・影響力を持ちたいからです。そして研究室や研究機関単位でも、論文が研究費や予算獲得、地位や名誉に繋がり、研究者個人も研究機関も多大な恩恵を受けるので、研究不正は温存されるのです。

 ところで研究不正が発覚した場合、研究機関が迅速な調査をして不正の認定をし、関係者の処分や対策を講じることは、ほぼありません。これは
(1)研究不正の調査や処分は文科省の規程(2)で当該機関が行うとされているので、結局は身内の庇いあいで、中立な立場を確保した調査は行われないこと
(2)研究不正を認定した機関は、文科省や会計監査院などから研究費の返還を求められるだけでなく、その後の予算も削られ、金銭的デメリットを受けること、
(3)当該機関の名誉失墜を招くこと、
(4)調査担当者は“研究者ムラからの仕返し”身内を庇わないと所属機関内・外で仲間はずれにされ、個々で研究費の獲得や昇進で不利な扱いをされること等があります。

 個人も組織も真面目に研究するより不正をしたほうが、また研究不正を調査し改善を図るよりも隠蔽するほうが、得する構図になっています。研究不正は個人の資質だけで起こることではなく、研究機関が必要な確認や不正調査の手続きを怠り、研究の公正さよりも別の利益を優先することで起こる、ということです。

 研究機関が正論や公正さよりも守りたい利益があるので―理研の場合は夢のSTAP細胞の発見とそれに伴う組織の成功と利益、私の事案は大学の名誉です。大学は、研究不正やハラスメントはあってはならないことだから「ないことにする」ことで名誉を守ろうとした―不正問題は解決しないのです。

3:任期付の若手研究者の脆弱な研究基盤

 研究は時間がかかるもので、5年、10年、20年単位で進めるものです。しかし若手研究者には1~3年単位の任期がついています。任期付の若手研究者を採用するのは任期のない教授で、自ずと力関係が発生してきます。そのため、若手研究者が研究を続けるためには、人事上人事権を握る教授のいうことをきくしかなく、それが不正行為への加担でも断ることは難しく、断れば実験妨害や人事での不利などのハラスメントを受けます。そして不正やハラスメント被害を大学に訴えても、組織防衛のために結局は不正やハラスメントはなかったことにされ、不正を訴えた若手研究者を切り捨てることで解決とします。

 任期付研究者は研究不正やハラスメント被害は訴えづらく、不正やハラスメントの温床になるのは構造的なものです。不正やハラスメントに同調する者しか残れない。

 しかし、研究不正に抗うことは至難ですが、不正に加担しないのは当たり前。

 私は、自分の研究を守るために、データ捏造や改竄に手を染めず、改竄されたデータの論文への共著、氏名使用を拒否したために、教授から激しいハラスメントを受けました。私は大学に相談すれば、正当な対処をしていれると信頼し、救済申立をしました。でも大学は、教授の言葉どおりに、私が“問題児だ”とレッテルを貼り、認識評価し、切捨てました。

 大学は、任期付(助教)という脆弱な立場を利用したハラスメントを容認したと同時に、研究不正の事実に目を背け不正に加担しました。研究不正は何も生み出さないだけなく、不正を隠すために次から次へと不当行為を育ててしまいます。不正やハラスメントを容認した大学の責任は大きい。

4:まとめ

 日本の科学界は、研究不正やハラスメントがおこる構造的な問題の対策を怠ってきました。その結果、日本は論文捏造大国と言われ、世界中の科学者の信用を失いました。

 日本の科学界の深刻な現状は、研究分野を問わず2000年以降の日本の論文数は減少し、諸外国と比べても異常という報告からも明らかです(3)。

 論文に必要な実験を行う者を排除し続けた結果、実際に実験を行える研究者は激減し、一方で発表される論文は捏造や改竄データで再現性がない。また任期のない教員は業績を出さなくても守られるのですから、論文数が減少、研究レベルが劣化するのは当然です。日本の科学界の研究不正とハラスメント、実験・研究が遂行できる人材不足は深刻です。

 しかし、 この現状でも、研究不正問題が発覚した研究者や組織は、詭弁を弄して保身と責任逃れにまい進し、組織ぐるみで隠蔽を図っています。STAP問題では、第三者・改革委員会が理研の解体まで踏み込む提言書をだしましたが、理研は無視、東京大学では、数々の研究不正に対して学部生が大学に説明を求めたものの、大学は回答をはぐらかし(4)、早大のコピペ博士論文問題では、早大は博士論文の不正を認定したが学位取り消しはしないという(5)、日本の科学界・研究者には自浄作用がないことを露呈し続けています。

 繰り返される研究不正の悲劇は、世界から日本の全ての研究の信用を失うだけでなく、不正をした者が人材育成を担うことで、次世代の研究者も世界に相手にされないことです。この問題の深刻さを、研究者は理解できないのです。

 私の事案は特別なものではなく、日本の科学界を反映したものです。司法が科学界の研究不正やハラスメントの判断基準として、然るべき判決をだすことが、科学界の改善のきっかけになると思っています。

(1)STAP問題では、複数の科学雑誌が、理研の研究不正の対応を批判する記事を掲載。
例:1)Nature誌
http://www.nature.com/news/stap-1.15332?WT.mc_id= TWT_NatureNews,
2)Science誌
http://news.sciencemag.org/asiapacific/2014/07/nature-retracts-convential-stem-cell-papers,
3)Lancet誌
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)61145-4/fulltext.
(2)文科省、研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて 研究活動の不正行為に関する特別委員会報告書
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu12/houkoku/attach/1334654.ht
(3)国立大学協会、関係者報告書草案。
http://blog.goo.ne.jp/toyodang/e/12d49cfdffc5ab6bd5ee3c3156eec890
(4)朝日新聞2014年7月5日、東大研究不正疑惑、医学部生3人「教授は説明を」
(5)小保方博士論文「不正あったが学位取り消しに該当せず」早大調査委・配布資料(全文)
http://www.bengo4.com/topics/1805/
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