労働裁判は、原告・被告共に準備書面で主張・反論し、併せて証拠となる書証も提出していきます。全体の流れとしては、主張に対して反論し、その反論に対して更に反論していきます。要するに、
主張-->反論-->再反論-->再々反論(繰り返し)
この様な進行で、全て準備書面という書面でやり取りをしていきます。
これにより、お互いの言い分を出しつくし、争いのある事実を探りだし、争点を絞り込んでいきます。本来これらの準備書面のやり取りは、法的な争いに関する内容の主張・反論となるはずです。
ところがこの準備書面でのやり取りで、被告側が不利な状況に追い込まれ裁判の勝ち目が薄くなると、なりふり構わず、感情的な内容の書面になってくる場合があるようです。この狙いはどこにあるのでしょうか。
先ずこの手口の要点をみてみます。
●何の根拠も無い事実を作り出し、原告である労働者の言動を批判・非難する
●原告である労働者の人間性・人格を徹底的に否定する攻撃をしてくる
●何の根拠も無い事実から、原告である労働者をこの裁判とは別に訴える、或は刑事告訴する用意があると主張してくる
主にこの3点に関して準備書面に酷い内容の文面で主張・反論してくるようです。
この狙いは一体なんなのでしょうか?ある意味被告側の弁護士の能力を疑いたくなってしまいますが…とても不思議に思うので、この目的・狙いを推測してみました。
先ず言える事は、原告側の証拠及び戦術が巧みな為、正統な裁判戦では勝ち目が無いので、これは非常手段の1つではないかということです。そしてこの狙いの1つ目ですが、それは裁判官に働きかける意味合いが考えられます。
如何にも原告が酷い言動をする人間か及び醜い人間性であるかを強調し、こんな人間が提出する証拠は信用できない、即ち証拠能力が無いと裁判官に思わせたいのだと思います。次に最大の狙いと考えられる、原告への働きかけです。
それは何の根拠も無い事実を作り出して、如何にも原告が酷い言動をする醜い人間性であるかを強調した準備書面を作り、それを原告に読ませることで原告自身に精神的に苦痛を与えることです。被告の弁護士は、原告が初めての裁判で精神的に不安定になっていることを知っており、それを利用して人格を否定する攻撃をしてくるのだと思います。
人格を否定する攻撃をやり続けて精神的苦痛を与えることによって、裁判を続けていく気力を失わせて、あわよくば裁判を取り下げさせようとする狙いがあると思われます。これはモラルハラスメントの手口と同じです。
モラルハラスメントは、「言葉や態度で繰り返し人格を否定する攻撃をして、攻撃対象の人間が自分自身の感覚が信じられないように仕向け、否定の世界に支配されるようにする」という様なやり口ですが、この手法を応用しているのだと思います。
また、原告を別の件で訴えるとか、刑事告訴する用意がある、というのも法律に詳しくない原告の不安心理を煽って裁判を取り下げさせようとする狙いがあると思われます。
このように被告側の手口の目的・狙いを推測してみました。
もし被告側の狙いがこのようなことだとすると、その対応策は自然体でいいのではないかと思います。それは例えば、「告訴等する用意がある」という…ある意味黙示の脅しともとれる内容については、実際問題、何の根拠も無い事実で告訴等できるわけはありませんが、仮に告訴してきたとしても原告側は冷静に合法的に対応すればいいのではないかということです。
それは告訴してきたのなら、こちらも法律で対抗するように考えればいいのであり、この場合は逆に虚偽告訴罪として被告側の罪を問えばいいだけのことだと思います。
基本的に被告側のこの手口による主張・反論は、この裁判の争点とは関係が無いことばかりですから、裁判の審理の本質に影響を与えるものではないと考えるべきだと思います。
ですから、根拠も無い事実による原告の言動や人間性を批判・非難・否定する主張はモラルハラスメントと同じ行為であると考えられ、これをモラルハラスメントとするならば、おかしいのは原告ではなく被告側であるということになります。
その認識をしっかりと持てば、原告は第三者の立場で他人事の様に淡々と被告側が主張していることは事実では無い、ということを反論していけばいいだけのことだと思うのです。被告側は何の根拠も無い主張を作り出したのですから、その事実を証明する根拠となる証拠などあるはずがありません。
原告は裁判の争点に向かって神経を集中させるべきであり、それ以外のことは他人事の様に淡々と処理していく…これが結論となるのではないでしょうか。
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