アメリカの野蛮な搾取・収奪の実態を描く
映画はイギー・ポップの歌が流れ、強盗が金を奪うシーンから始まる。映画は解雇され住宅ローンが払えなくなって家を強制退去させられる人々を映し出す。
ムーアは、故郷フリントのGMの工場跡に父親とたたずむ、古き良きアメリカは去り、まじめに働いても病気になると破産、解雇されるとローンが払えなくなり家を追い出される。サブプライムローンの高金利でも家を失う。大学4年間の費用は1000万円で卒業すると借金が残る。
大企業が従業員に無断で生命保険をかけ、保険金の受取人になっている事実を見せる。しかも遺族には1セントも払わない。ムーアは今日のアメリカの野蛮な搾取の実態を描く。
ムーアはアメリカの独立宣言の文面を紹介する。またルーズベルトが掲げた新しい権利章典を紹介して、この実現を訴える。
キリスト教徒のムーアは神父にもインタビューする「資本主義は邪悪であり、神の教えに反している」ムーアは議員にも、経営者にも突撃インタビューする。おもしろいのは経済学者がサブプライム債券の説明ができないシーンである。
いかがわしい商品であることを見事に描いている。
家を追い出された一家を、近所の人々が支援して、追い出された家に帰る。パトカーが7台もきて追い出しにかかるが人々に阻止される。
倒産した会社にも労働者が立ち上がり、立てこもる。
公的資金を受けている銀行幹部が高額のボーナスを得ていることで銀行への批難が高まる。決起した労働者の闘いが勝利する。
ムーアは、大銀行の前で犯罪を糾弾する。「あなたたちを市民逮捕する」ムーアは人々にも立ち上がって闘うよう呼びかける。
映画はウディ・カスリーの歌が流れる。
イエスは金持ちに言った。「貧しい者たちに施しなさい」だから奴らはイエスを葬り去った。
イエスは病める者、貧しき者、飢えた者、傷ついた者を救った。
だから奴らはイエスを葬り去った。
終わりの歌はなぜかインターナショナルに似たメドレーである。
ムーアはこの映画を通じて資本主義を批判し、大衆に立ち上がって闘うことを呼びかける。
マイケル・ムーアはキリスト教信者なのだが、戦闘的民主主義者なのである。
最後にマイケル・ムーア監督が来日した際のメッセージの一部を紹介する。
「アメリカでは現在7.5秒に1家が差し押さえられて、強制退去となっています」「現在のアメリカは目を覆いたくなるようなことばかり」「アメリカで起きていた問題が、日本でも起こり始めているのです」「どうかアメリカのようになりたいといった思いは一切捨て、日本のままでいて下さい!」
日本がアメリカ資本主義をモデルにする時代は終わったと私はこの映画を見て痛感した。
1人でも多くの労働者にこの映画を見てほしいと思った。
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