新世紀ユニオン発行のニュース

本人申立の労働審判を経験して!

 私は、ある中小企業に10年以上勤め、10月中旬に60歳定年をもつて退職しました。7月に「本人申立ての労働審判」を行い、3回の審判を経て会社と和解致しました。私の「申立て趣旨」として①賃金減給による2年間の未払い賃金
②60歳定年時の退職金額 ③退職勧奨を止め65歳まで雇用延長の3項目について争いました。

 審判の結果は「申立て」にほぼ沿った内容で認められ、「勝利的和解条件」を勝ち取ることができ、私は会社側の和解条件である「就業規則の60歳定年をもって退職」とする意向を受け入れました。

 「第3者に口外しない」という和解条項がある為、詳しく紹介できないのが残念ですが、会社との闘いを全面的に指導して頂いたユニオン委員長や団体交渉に参加して頂いた方々への感謝の気持ちと、不条理な職場環境で働いておられる組合員のみなさんへの今後の闘いの参考事例になればと思い、私の経験を報告させていただきます。

 私が勤めた会社(繊維関係)は中小企業ですが、国内外に事業所や生産子会社を持つ業界では有力企業であり、従業員も200人以上在籍し弁護士や社労士法人と顧問契約を結ぶなど体裁としては優良企業と言えます。

 しかし、典型的なオーナー企業であり、オーナーの意向=法律という絶対権限と服従を求められ、能力があっても意にそぐわない言動をした者は、何時の間にか退職(させられて)になっていました。特に賃金や経費等のお金には厳しく、社員の大部分は年棒制ですが、オーナーが個人ごとに決定します。社歴や役職に連動しないため、直属上司であっても部下の賃金(年棒額)は知らされず、私の上司も私の年棒額を知らないと答えています。

 一般的な就業規則は開示されていますが、賃金規程や退職金規程は開示されていません。人事評価制度は、大手企業並みの自己申告制の立派な評価表を使用し、2人の上司が点数評価しますが、結果の開示はなく簡単なコメントのみが記載されます。本来、年棒賃金は、公平公正な評価制度の基で成立する制度ですが、賃金規程や評価プロセスが開示されない状況で一方的に通告されました。

 私は、幹部候補社員(年棒)として総務部に入社し、仕事の成果が認められ1年半後に昇格・昇給しました。しかし、4年目から年棒減額が始まり、物流部への配置転換となりました。物流部での仕事は製品の搬送と倉庫管理であり、配転の内示を受けた時点で、明確に自分がリストラ対象になったことを実感しました。以後、毎年7~10%の減額が続きました。

 減額理由は、毎年「人事評価が悪い」とされましたが、異議を唱えること自体許されず、年齢と雇用環境を考えると、生活のため配転も年棒減額も受け入れざるを得ませんでした。しかし、総務在籍時の経験から、オーナーの人事に対する過去の対応からして、このままでは済まないであろうとの警戒感から、後々のことを考え、規程集等の証拠集めを始めました。

 配転後3年を迎える頃、総務面談と称して個人面談が行われました。物流部社員全員が対象とのことでしたが、私を含む一部のみの面談であり、内容は「評価が悪いので決意文を書くように」とのことでした。この件についても、上司は知らせれておらず、私は不自然さといよいよリストラされるかと、更なる警戒感と一層の証拠収集を行いました。

 この頃、ネットで新世紀ユニオンの存在を知りました。HPでのリストラ対象になった時の対策法や証拠収集の重要性、また雇用維持が最大目的とする等のコメントに、私は共感と信頼できるユニオンとの認識を持ちました。

 私は、2度の退職勧奨を受けています。1度目は、総務面談から1年を過ぎた頃の平成24年11月に、退職勧奨を通告されました。「評価が連続して悪いので辞めて欲しい」が勧奨理由でしたが、私は納得できないとして拒否、会社と対決する覚悟を決め、新世紀ユニオンに加入しました。

 以後、翌年4月まで合計7回の勧奨面談を受けました。その間、ユニオンの指導を受け賃金・退職金規程の開示要求や減給異議申立等を提起した結果、撤回させることができました。2度目は、私が作業中に起こした軽度な事故について労基署へ相談したことから、会社に指導が入り、その報復に「信頼関係がなくなった」として、再度の退職勧奨を通告してきました。労基署に相談し指導を依頼することで、会社から攻撃があることは予想されたことであり、この時点で、ユニオンの組合員であることを明かすと共に団体交渉を申し入れました。

 団体交渉には会社顧問弁護士も参加しましたが、ユニオン側の質問には「答えられない」を繰返し不誠実な交渉であったため、1回で打ち切りとしました。

 会社の対応に団交では成果が期待できないと判断、裁判の可否についてユニオン顧問弁護士に相談しました。弁護士からは、「争えるが、解雇と異なり、年棒減給の未払い賃金請求は費用対効果でペイしないであろう。裁判は1~2年を要するが定年が迫っている。高年法(雇用延長)は、賃金等の条件はないので最低賃金を覚悟する必要がある。」と指摘され、裁判へのハードルが高いことに悩みました。

 しかし、ユニオン委員長とも泣き寝入りはしないとの思いで、「本人申立の労働審判」を申立てることを決意しました。委員長の全面バックアップの基、1日で申立書を作成しました。また、早い段階で証拠を集めていたので、会社側の問題点の整理と立証の証拠を多数提出することができました。裁判所に納めた費用も約1万7千円程度であり、弁護士費用と比較しようのない金額で済みました。

 7月に裁判所へ申立書を提出し、9月に第1回目の審判がありました。ユニオンニュースで労働審判についての要約記事がありますので省略しますが、審判の進行形式は審判員3名(裁判官と経営側代表・労働者側代表)と会社側(弁護士等)と私が、楕円形テーブルにつきます。2時間の予定です。

 まず、裁判官より双方から提出された証拠類の確認が詳細に行われます。次に、申立内容の確認があり審判員3名から双方に質問をされます。3回で審判を出すため、質問以外の答弁は、原則許されません。このことは、却って申立する側に有利です。法廷闘争に素人が弁護士相手に闘うのは、非常に難しいですが、質問に答えることでしたら気持ちが落ち着きます。また、審判員も、こちらの受答えを勘案しながら質問をしてくれます。

 2回目以降は1時間の予定です。2回目は、双方から提出された追加資料の確認と質問があり、お互い別々に離席し、和解の意思確認と条件のヒヤリング及び審判員からの意見がありました。

 実は、この時に裁判官から重要な発言がありました。私の申立趣旨はほぼ認められるが、3番目に挙げた雇用延長について、高年法が最近の施行であり、定年後の雇用延長条件について判例がない。従って、会社側和解条件として60歳定年で退職した場合の雇用延長補填分の金銭的条件の判断が難しいとのことでした。審判員から暫定的な金額算定の考え方を説明されましたが、私は不満として希望を述べ、次回に持ち越しとなりました。

 3回目は、会社側の和解条件の最終確認です。結果は、未払い賃金・退職金とも申立額を支払う。雇用延長補填分としての金額は、私の希望した最低期間の相当額とする。という勝利的和解となりました。また、私は会社都合を退職理由にするように要求しました。審判員は、定年退職であるから自己都合ではないかとの回答でしたが、和解条件の退職に関連した既得権を拒否された為、その引き換えに認めるよう再度要求したところ会社側が認めました。会社都合退職は、雇用保険で有利でありかつ健康保険(国民健康保険)も減免処置で期間限定ですが、低い保険料で済むなど労働者側に非常に有利な制度があります。雇用保険上の退職理由は、見逃してはならない重要なポイントです。

 会社側もユニオンへの加入を把握した段階で、和解による退職に方向転換しており、労働審判を行う意味も条件闘争に移行しましたが、準備段階でのユニオンのリストラ対処法は、非常に的を得ており具体的な資料名をあげ、静かに広く証拠を集める・面談時の録音・交渉経過に応じた会社へ反論資料作成のアドバイス等、後々の労働審判に有効な証拠資料となり勝利的条件を勝ち取ることができました。

 今後、審判や裁判の可能性のある方への私のアドバイスとして、証拠類の収集以外に①信頼できる同僚以外には常に警戒心を持つ②経営者や上司との面談は録音しノートに整理する③ユニオン委員長と連絡を密にし報告・連絡・相談を確実に行い、委員長に状況を理解してもらう④指導された事項は実行し、結果も正しく報告⑤自分自身も知識武装する(労基法や社会保険等を本やネット等で)・・知識は武器と自信に繋がります

 ブラック企業と闘うには、泣き寝入りせず、地道な証拠集めとユニオンとの密なコミニュケーションが重要であると思います。みなさんの健闘を祈念します。
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!!ここに掲載の広告は 当ユニオンとは一切関係ありません!!
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