中国が、世界銀行でドル支配を行うアメリカに対抗し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立することは、世界の覇権をめぐる争いに参戦することを意味している。中国のこうした世界的野心にどのように戦略的に対処するかを、アメリカは欧州の同盟国と議論したふしはない。
AIIBにイギリスやドイツなど欧州諸国ばかりか、オーストリア、韓国まで参加を表明し、アメリカと日本が孤立する事態となった。明らかに中国外交の勝利であるが、AIIBに参加を表明した国は戦略的に決定したのではなく、目先の利益に誘導されたのである。アメリカと日本はそれぞれ世界銀行・アジア開発銀行を持っており、しかも経済規模が大きいので出資金が多額になるため中国主導のAIIBに参加できない事情がある。
問題は中国経済が普通の資本主義国ではないということだ。一度社会主義に転化すると官僚独裁の国家資本主義になるので、そうした国家が野心を膨らませても成功する可能性は低いということである。もう一つは経済覇権は軍事力による裏付けが必要だが、中国はアメリカの軍事力に対抗する海軍力がないことだ。しかも中国はバブル崩壊に直面しており、多くの国がAIIBに参加しても出資金を回収することは難しい。
経済規模の小さい国は、AIIBに参加しても工事を受注したり、貸し出しを受けても返済しなくてもいいのでメリットがある。問題はアメリカがTPPを推進し、中国が海と陸のシルクロード構想を進めており、世界市場がドル圏と、元圏に分化することだ。これは一口で言えば世界市場の多極化であり、双方の経済圏にとってマイナスとなる可能性がある。アメリカが(いかにオバマであっても)おとなしくドル支配への挑戦を見過ごすとも思えない。
いずれにせよ多極化の流れの中で、アメリカのグローバル化の政策は破綻しつつある。日本は経済破綻が確実な中国経済に巻き込まれないようにしなければならず、中国の背伸びした経済戦略に参加すべきではない。アメリカのオバマは日和見主義的でしかも議会は共和党が握っており、この問題に大胆な対応は期待できない。オバマの外交的無関心が、同盟国をして中国のAIIBに参加させたと言えなくもない。アメリカが「関与政策」と称し、中国覇権主義に相変わらず無視する対応を取るのか?オバマ政権と米議会の外交的対応が注目される。
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