私が不思議でならないのは日本の労働者は会社からいかに理不尽な扱いを受けても労働組合(=ユニオン)に加入して雇用を守ろうとしないことです。またユニオンに加入して雇用を守ってもすぐ脱退します。新世紀ユニオンの規約には再加入は原則認めない、となっています。脱退して再びリストラにあったらどうするのでしょうか?どう考えても労働組合について基本的な事が分かっていないのです。
日本の労働者が知っている労組は企業内組合=家畜労組です。家畜労組は解雇されると同時に組合員でなくなります。ですから多くの人が新世紀ユニオンのような雇用を守る労組があることを知らないのです。解雇事案やパワハラ事案でも新世紀ユニオンは多額の解決金(500万円~900万円の)を取っています。つまり日本の労働者は労働組合が法律でいかに守られているかを知らないので労働組合を「一時的便利屋」のようにしか理解していないのです。ですからここでは労組が法律でいかに守られているか、労働者が闘う労組に加入していない事(=団結していない事)がいかに無権利であるかを書きたいと思います。
憲法28条及び労働組合法は労働者の団結権・団体交渉権・団体行動権(=ストライキ権など)を保障しています。これらの正当な権利行使には刑法35条(正当行為)が適用され、刑事罰を受けることがなく(労組法1条2項)、民事損害賠償を受けることもありません(労働組合法8条)。使用者は正当な団体交渉要求を拒否することは許されず(労動組合法7条不当労働行為2号)正当な団体交渉を行った事を理由として組合役員や組合員について解雇やその他の不利益な取り扱いをしてはならない事になっています(労動組合法7条不当労働行為1号、3号)つまり労働者は組合に団結することで初めて会社と対等の法律関係に立つことが出来るのです。個人で会社と交渉することも出来ますが、この場合会社が拒否すれば終わりです。
労組(=ユニオン)と会社との間で合意された内容の文書(双方の印の押された確認書や合意書)は「労働協約」となり単なる合意とは異なる保護や効力が与えられています。使用者(会社)は
労使で合意したことを協約にする信義則上の義務があり、協約化の拒否は不当労働行為となります。協約で定められた内容は個々の組合員の労働条件になります(これを規範的効力と言う)。
日本の労働組合法の特徴は不当労働行為(労組法7条)を認めたことです。これは日本の労働運動史において画期的なことであり、GHQの「戦後労働改革」の一番すぐれている点です。これは当時日本を占領支配していたアメリカ軍が、日本の労働組合の力を強くすることで日本軍国主義復活に反対する力を労働組合に求めたことであり、同時に労働組合の力を強くすることで賃金が継続的に上昇し、その事が戦後の経済復興の起動力となることを狙いとしていたのです。その結果、日本は戦後復興を驚くほど早く成し遂げることが出来たのです。
ところが日本の財界にすれば、労働組合の闘いで賃金が上がり続け、その結果自分たちの利潤が減るのは耐えられないことでした。当時日経連(現在の日本経団連)は早くから不当労働行為の「改正」を企みましたが、支配者であるアメリカが作った労働組合法を変えることはできませんでした。そこから日経連は日本の労働組合(企業内組合)を買収し、家畜化することで労働組合の変質を策したのです。
こうして解雇された組合員が企業内組合に駆け込むと、労組の「だら幹」が、「あなたは既に組合員ではありません」とにべもなく追い返す家畜労組が出来上がったのです。そうした現実の中で切実な必要から、本物の労働組合として1人でも加入できる「新世紀ユニオン」が出来たのです。日本の労働者が新世紀ユニオンの団結を持続的に拡大していくことで、雇用を守り、労働者の権利を守り、労働条件を改善する闘いの砦を得ることが出来るのです。リストラ時代の労働者は、ユニオンに加入していないと無権利で雇用も守れない時代が来ているのです。
スポンサーサイト