問 経営状態が赤字で、受注も減少している事から、会社から賃下げを提案されています。すでに希望退職募集の話も出ています。私は現場なので賃下げを通告されていますが、この場合拒否してよいのか?
受け入れなければならないのか? 対応が分かりません。なお組合はありません。
答 普通賃下げは労働条件の変更であるので、十分な説明と本人同意が必要です。つまり同意なき不利益変更は無効で、会社が一方的な賃下げは出来ません。相談者の場合重要な点は、会社が赤字経営であり、受注が減少ししかも希望退職募集の話も出ているということです。この事は総合的な再建策の中に賃下げが位置付けられている、と言う事です。
つまり賃下げや、希望退職募集は「解雇回避措置」としてやられている可能性が強いのです。この場合で、賃下げを拒否していると指名解雇の可能性があると言う事です。つまりあなたが雇用を重視するなら、賃下げを受け入れるしかありません。ただし「景気が回復し、経営状態が好転すれば元の賃金に戻す」と言う事を確認(書面)しておくべきです。
現在のように不況が深刻化している状態では、賃下げは拒否すればよいと言うものではありません。その賃金切り下げが解雇の回避措置としてやられているのであれば、拒否することは、すなわち整理解雇のターゲットになる可能性があるのです。特に労働組合も無い会社では会社と労働者の力関係が隔絶していると思われます。こうした状況では賃下げを拒否する事は、リスクが大きいと判断できます。逆に会社が黒字であり、より利益を増やす目的の賃下げ提案なら断固拒否していいのです。
今新聞紙上でワークシェアリングが盛んに提案・推奨されています。解雇を回避するために全社員一律5%の賃下げを受け入れるといった形で雇用を分かち合う事をワークシェアリングと言います。こうした賃下げは、役員は20%管理職は10%一般社員は5%といった形で行われる場合もあります。ただし現場労働者だけ賃下げで事務部門や役員・管理職は現状の賃金のままというのは均等取り扱いという点で違法の可能性があります。
現在では、会社が就業規則を変更する事で賃下げを合法的に行うことが可能になっています。しかしこの場合でも労働者との合意は原則であるし、過半数代表の意見聴取と労基署への届出がされているか、就業規則の変更に合理性が認められるか、又法令や労働協約に違反していないか等が重要となります。
今、労働者に対して使用者が「賃下げに同意しないと解雇する」と通告する事が増えています。この場合は、整理解雇の4要件(リストラ対処法を参照のこと)にしたがって判断する事になります。なを労働契約期間内であるのに時間給を切り下げる会社もあります。バイトや派遣や契約社員に対する、契約期間内の一方的な賃下げは違法です。契約を守るよう要求すべきです。
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