少し前の話題であるが、2015年5月に奈良県林業基金が倒産したニュースが流れた。このニュースはYahoo!
のトップ記事にも掲載されたが、アクセスが少なかったらしく、あっさりとトップ記事から消えた。国民の皆さんが林業に興味がないことの表れであろう。
問題の奈良県林業基金は第3セクターであり、またかというのが本音である。つまり、公務員が税金を使って金儲けに失敗したといういつものパターンである。そもそも、公務員が金儲けに長けているわけもなく、また産業としてオワコンである林業で稼ぐという発想に無理がある。しかし、お役所としては衰退する林業を見捨てるわけにもいかず、何やら美辞麗句を並べて投資する口実が必要であり、さらに職員の天下り先を作るためにも、第3セクターの設立は必須となる。結果として、尊い税金が消えてしまったことになる。
林業には未来があるという意見もしばしば見られる。最近の木材価格が上昇しており、日本の林業は復活しつつある、という解説も見受けられる。しかし、木材価格の上昇は中国の建設ラッシュに伴う中国への輸出増であり、一時的なものでしかなく、中国市場が破綻すれば日本の林業は再び低迷状態になる。林業は恒常的に金を稼げる産業ではないことを理解していないか、あるいはお役所の回し者が林業復活を騙っているとしか思えない。
過去の投稿でも指摘してきたが、林業は行政が仕切っていることがそもそもの元凶である。お役人には経営感覚がなく、先を見通す能力もないのに、林業で金もうけしようとするため、破綻することは必定である。お役人に林業経営を指揮させてはならないのである。
行政が林業を仕切っていることが間違いならどうすれば正せるだろうか。以前の記事でも述べたが、残念ながら行政に経営能力がなく、失敗への反省心も自浄能力がない上に、本来なら専門家であるはずの大学教員や研究所の研究者が行政の太鼓持ちであり役に立たないため、正すことは不可能である。
例えば、いまだに「地球温暖化の原因である二酸化炭素を減らすために林業は貢献している」という謳い文句が行政のポスターなどで見られる。二酸化炭素による地球温暖化説が間違っていることは科学的に示されているにもかかわらず、公的な立場である行政がいまだに間違いを正そうとしない。それどころか、真理を探究しているはずの大学や研究所すら間違いを指摘しない。林業関連の大学や研究所がもはや真理ではなく金儲けの手段を探究しているならば潰してしまうべきであるし、そんな大学へわが子を進学させるべきではない。
自民党員が新聞社をつぶすために広告収入を減らすべきだとした戦略を真似ればいい。また、市民の貴重な税金を無駄遣いして、何ら責任を取ろうとしない行政を正すべきである。新国立競技場の建設費問題でも、建築会社による競技場建設の見積額は1600億円程度だったにもかかわらず、自分たちが使用する建物の建設費を抱き合わせた結果2500億円もの巨額に膨れ上がったのが実情であった。つまり税金のことを、いくらでも金を産み出す打出の小槌とでも考えているとしか思えない。行政の意識改革をしなければ、私たちの生活は改善しない。
都市部で生活していると、林業なんて自分には関係ないとつい思ってしまう。しかし、都市部で吸い上げられた税金が、林業にばらまかれていることを真剣に考えなければならない。何より、林業はもはや産業ではない。多人数の雇用を生み出すことはできない以上、産業とは言えない。行政による税金の無駄遣いによってかろうじて経営が成り立っているならば、日本の林業に未来はない。
過去記事
日本の林業に未来はない!?
http://21cunionnews.blog111.fc2.com/blog-entry-831.html 続・日本の林業に未来はない!?
http://21cunionnews.blog111.fc2.com/blog-entry-841.html 日本の林業に未来はない!?~おまけ~
http://21cunionnews.blog111.fc2.com/blog-entry-858.html
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