一時労働者のことを「社畜」と形容することがはやった。会社の家畜と言う意味だろうが、これは少し違う。家畜は労働の成果を搾取されないのであるから、やはり賃金奴隷という表現がふさわしいのである。
「ニーズにあった働き方」と称して非正規労働が多様化した。低賃金で使い捨ての労働力が日本の労働者の3分の1を超えるまでに拡大した。
「労働時間の弾力化」と称して賃金の支払われない長時間労働が拡大した。裁量労働制とはただ働きの拡大であった。
「能力主義の拡大」と称して過大なノルマが、有休休暇さえ取れない長時間の奴隷労働を拡大した。過労死や過労自殺が増えつつあることを指摘しなければならない。
「高利潤体質への経営」の名で、違法な搾取が拡大し、ブラック企業が急増した。リストラ経営が労働者の雇用をより不安定なものとした。利潤の減少は経営陣の責任ではなくなり、労働者のリストラの口実となった。
「残業代ゼロ法案」の名で労働が時間管理ではなく、成果で管理され、労働者のただ働きが一層拡大されようとしている。「解雇の金銭解決」の名で、違法解雇で裁判で負けても金を支払えば解雇できるようにするというのだ。
「規制緩和」の名で、労働者の労働が次第に奴隷労働化しつつあることを指摘しなければならない。実質賃金は下がり続け、増税が労働者の生活を次第に厳しいものにしつつあるのだ。首相が「女性が活躍できる社会」と言いながら、実際は女性が妊娠したら退職を強要され、職場から追い出される社会なのである。男女平等が何処に存在するというのか?
日本に一般的な企業内労組は、多くがユニオンショップ協定を結んでいる。解雇されれば、自動的に組合員でなくなるこの組織形態は、リストラされた労働者の雇用のために闘えない。こうした労組を我々は「家畜労組」と呼ぶ。労働者がリストラと闘えないことも奴隷労働化の表れなのである。
安倍政権の「労働の規制緩和」は搾取の強化を合法化した。労働を奴隷労働化した。その結果食品への異物の混入や、違法な抗議が表面化した。我々は合法的闘いを労働運動として闘うが、事態は非合法的抗議へと流れができつつある。
強欲の資本主義は労働の奴隷化を促し、闘いの非合法化を促すのは法則かもしれない。日本の労働者は憲法で保障された人格権ですら失いつつある。労働の奴隷化は労働者の「改善」への意欲を削ぎ落す。日本資本主義は労働者の創意・工夫を失うことになった。国民経済の衰退は避けられそうもない。
新世紀ユニオンは労働者の奴隷化に反対し、雇用を守れる労働組合で有りたいと願っている。
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