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経営者・政治家は個別企業レベルの思考を克服せよ!

 今春闘は経営者も労働側も中国経済のバブル崩壊に震え奇妙なほど萎縮した春闘となった。そもそも要求段階から自粛要求である。2兆円を超える利益を上げているトヨタは、要求が3,000円、回答が1,500円、というのだから話にならない。

 大企業経営者は「国内市場が力強さを欠く」「景気の先行きが予断を許さないから」と言う理由で賃上げを労使とも自粛した。そもそも「国内市場が力強さを欠く」のは財界の強欲の結果であり、新興国経済が減速しているからこそ、賃上げで国内経済を拡大再生産の軌道に乗せねばならないのである。しかし個別企業レベルの思考ではデフレを解決できないのである。

 日本の大企業が多国籍企業化し、海外で多額の利益を上げているから、国内市場はどうでもいいということにはならない。企業が儲けても日本国の国民経済が縮小再生産のサイクルから抜け出せないのを放置しているのは、企業経営者の無責任と言うべきだ。

 日本経済が、企業の積極的な設備投資や研究開発投資を怠るようになったのは、強欲の資本主義の政策で家畜労組にし、労働の非正規化による賃金の低下、長時間労働と残業代の不払いなど絶対的剰余価値の獲得ばかりに努力し、相対的剰余価値の獲得に意欲を失った結果なのである。

 GHQの戦後労働改革の経済政策上の狙いは、強い労組を誘導し、個人消費の継続的拡大で日本経済は戦後急速に復興したのである。しかし強欲の資本主義は一企業レベルの思考で、労組を飼いならし、家畜化し、結果日本の賃金部分=個人消費は継続的に縮小するようになった。個別企業レベルの思考なら、家畜労組化は企業の目先の利益を一時的に拡大する。しかし国民経済の拡大再生産にはどうしても分配の均衡が必要なのである。

 ソ連が崩壊し、中国が変質したから(革命の危険が無くなった)と言って強欲の資本主義に舵を切り、日経連を解体し、家畜労組化で搾取率を際限なく上げる政策は「木を見て森を見ない」政策としか言いようがない。戦後の日本経済の急速な復興を導いたGHQの戦後労働改革の経済政策上の狙い(政治上の狙いは強い労組で軍国主義を止揚すること)を理解しない経済界の愚かさを指摘しなければならない。

 冷戦崩壊後の強欲の資本主義が分配のバランスを破壊し、経済をデフレへと誘い込み、資本主義世界の経済危機を招いたのであるから、これは社会主義への勝利ではなくブルジョアジーの墓穴を掘る行為なのである。資本主義が拡大再生産のサイクルを維持するには、強い労組なしに不可能なのである。強欲者(経営者)が、首相が賃上げを頼んだからと言って、実質賃金が上昇するわけがないのである。

 日本を3等国に転落させた政策的誤りは、労組の家畜化であり、それによって分配の不平等が生じたことによる。経済・政治の指導者が強欲の資本主義の誤りを理解するには、個別企業の目先の利益から一国の政策を見る視点を変えなければならない。国民経済の健全な成長なしに企業だけ利益に有りつく世界観は「我れ亡き後に洪水は来たれ!」という資本主義を死滅に追い込む世界観なのである。

 階級社会は搾取の社会であり、被搾取者への思いやりなしに健全な経済の拡大再生産は有り得ないのである。現状の格差社会は強欲の資本主義の結果であり、労組の家畜化を許したという点で労働運動家は反省しなければならない。マルクス主義は死滅していないのである。日本の経営者・政治家・労働運動家は「資本論」(マルクス)を学んだ方がいい。
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