近年、労働争議で審判や裁判で経営者側が「労働契約ではない」と主張する例が増えています。実際に請負契約になっていますが、それが偽装請負であり実際には労働契約である場合が少なくありません。
当事者間で締結された契約が請負契約か労働契約か争われる例が増えています。労働契約である場合は、労働者は労働契約法や労働基準法の保護を受けられます。しかし請負契約(民法632条)や、有償の委任契約(民法643・648条)である場合には労務の提供を受ける側が、その都合により契約を一方的に解除できます。
しかし労働契約の場合には労働契約法16条により、客観的に合理的理由を欠き社会的通念上相当であると認められない場合には解雇は無効となります。また労働契約の報酬には相殺をすることは労基法24条で禁止されています。請負契約や委任契約の場合は報酬の相殺が可能です。また労働契約の場合契約の違約金を定めることはできません。
労働契約か否かを判断する基準は以下の点です。
(1)具体的仕事の依頼・業務従事の指示に対する諾否の自由の有無
(2)業務遂行上の指揮監督の有無
(3)勤務場所・勤務時間の拘束性の有無
(4)労務提供の代替性の有無
(5)報酬の労務対償性(報酬の計算が時間による場合指揮監督関係の補強要素となる)
このほか事業者性の有無、専属性の程度、社会保険料負担の有無などが補強要素として存在しています。この中で一番重視されるのは(2)の指揮監督の有無です。
労働審判でメールで指揮命令していたので労働契約と認められた例もあり、また委任契約と主張していたが報酬が給与とされていた点から労働契約と判断された例があります。
つまり委任契約や請負契約書になっていても実際には多くが労働契約です。したがって委任契約書や請負契約書であってもそれに騙されてはいけません。偽装請負や偽装委任契約で違法解雇を正当化しようとする詐欺的な手法が多いのです。
形の上では契約の解除が、実際には違法解雇である場合が多くあります。組合員の皆さんはこうした詐欺的手法を知ったときは、友人に新世紀ユニオンに加入して闘うように助言してほしいと思います。
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